『192年03日』
どうもはじめまして。ギル・ノヴェイラっていいます。
この度、ナルル王国に移住することになりました。よろしくお願いします。
理由は聞かないでくださいね。移住の、ですよ。そんなものありませんから。
まあ、自分の話はこれくらいにしておきましょう。
ナルル王国って小さな国なんですね。
住人が今日現在で133人しかいないらしいですよ。パンフレットに書いてありました。
成人男性48人、成人女性48人、赤ん坊含めた子供が37人。
ああ、もちろんこの中に僕も含まれていますからね。
今日は、国のことを良く知るために、国を歩いてみたんです。
当たり前ですけど、知らない人ばっかりで、ちょっと不安もありましたけど。
みんな笑顔で挨拶してくれて、なんか安心しました。大丈夫だぞ、って。
で、ですねぇ。
調子に乗ってあちらこちら歩き過ぎちゃたんですよね。
こちらは、僕の新しい職場、ローク・エルグの長、
ジェヒュー・ジンデルさんです。
ジェヒューさんは、どうやら僕を探してくれていたみたいで。
エルグを案内してくれる、って言うんですけど、ちょっと怒ってましたね。
本当に申し訳なく思います。
僕のエルグは野菜を種から育てて納める、ということをしているそうです。
土にはなにやら不思議な力が働いているらしく、野菜がすぐに育つんですよ!
「信じられないかい? じゃあ、試しにやってみるといい」
なんて
ジェヒューさんが言うもんですから。やってみました。
いやもうびっくりです。驚きました。本当だったんですね。信じられません。
夢中になって種を植えていたら、いつの間にか
ジェヒューさんはいなくなっていました。
それから、エルグに向かう途中で教えてもらったチコ温泉に行って、帰宅。
これで僕のナルル王国民としての一日目が終わりました。
『192年04日』
今日は休日です。
仕事がない日なので、何をしようか考えながら朝食を済ませました。
とりあえず家を出なくちゃ始まらない。ということで、市場へ。
朝からたくさんの人がいて驚きました。
僕の移住に際して、国からのプレゼントなのでしょうか、棚に色々と入っていましたが、
今の僕に必要なのはお金ですから、それらを売りに市場へと行ったんです。
そうしたら、人、人、人。
昨日初めて会った僕に、気軽に声をかけてくれる人もいましたね。感謝です。
それでですねぇ。
「おはよー。今日はやっぱりティルグで訓練か?」
「おはよー。そうだよー、今日もビシバシ己を磨くのさ!」
なんて声が聞こえたのですよ。いや、武術組織があるというのは知っていましたけど。
ほんと市場に行って良かった。これで今日の予定が決まりました。
物を売ったお金で訓練用のアイテムを買って、バスの砂浜へ向かいます。
なんか訓練用器具を叩くのって、気が乗らなかったんですよ。
実際に体動かした方が気持ち良いですし。
砂浜には結構たくさんの人がいましたね。
正直、昨日誰に会って、今日誰と初めて会うのか分かりませんでしたけれども!
で、訓練した後はやっぱりこれですよね。
今日もまたチコ温泉へ行ってきました! 汗を流してきましたよー。
「お、誰かいるのか」
って、体を拭いていたら
ミナハト・リメイさんがいらっしゃいました。
ミナハトさんは使節なんですよ。そうパンフレットに書いてありました。
で、ですね。おまけです。
昨晩飲み過ぎたんでしょうかね。朝になっても酒が抜けてない人がいました。
「何、昨日飲み過ぎたの?」
「良いんだよ、今日は休日なんだから」
「でも、君が持ってるのって……」
「酔った俺はいつもより強いぜ……」
じゃじゃじゃん。
面白い人だね。
マーティン・モリスさん。
そうそう、最後に。今朝、新しい移住者が港に到着したみたいですよ。
カピトリーナ・ドレイクさん。
まだ会ったことはないですけど、同じ移住者同士、頑張りたいですよね。
と、そんなことを思いながら夕飯を食べて、移住二日目は終わるのです。
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